フィッ子

ディナミによる日々の糞と屁の集積所

penifikko

出川晋さん

出川晋さんの展示を見てきた。天下茶屋の山本製菓にて。出川さんのことは何も知らなくて去年の仙台のヒスロムの手伝いに行ったときに3人から出川さんの話をやたら聞かされてた。仙台のオープニングの時にも参加されていたらしい。
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左の拡声器を担いだ人だ。体を張る感じの人のイメージだった。山本製菓は行きにくく、入場料(500円)がかかるのでなかなか足が遠のきがちだが、頑張って踏み込んでみた。入り口部分が横の勝手口になっていて入ってすぐに入場料を徴収された。出川さんもいらっしゃった。挨拶もそこそこに展示を見させてもらった。


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執着をテーマにされていた。↑の6畳間を斜めに立てかけててびっしりとモノが整理され並べられてるやつは窃盗犯が捕まったあとに体育館に盗んだものをずらっと並べられたやつの感じもした。窃盗犯も出川さんも並べまくって己自身を投影していた。

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このぬいぐるみとドライフラワーを並べた作品は祭壇になっていた。ぬいぐるみの話を聞いてみた。中1ごろまでぬいぐるみ(30体ほど)を溺愛していた(風呂にも一緒に入っていたそう)出川少年はある日帰宅すると突然親に(事前になんの説得もなしに)ぬいぐるみをゴミ袋に入れて捨てられていたそう。普通ならブチ切れてもいいくらいの事象だと思うが彼は親に対して怒らず(思春期なのかもしれん)、静かにそれ(ぬいぐるみたちを一斉に捨てること)を受け入れたそうです。その辺が僕は理解不能でしたが(僕は高1でプーを買ってもらったという真逆の人間でした)、出川さんはそれを淡々と語ってました。今回展示しているのはそのときのぬいぐるみたちそのものではなく、近年になって集めた(そこがストーリーの強度に欠けてるかもしれんです…)ぬいぐるみ達でそれを祭壇のように奉ってありました。記憶や思い出を葬るようでした。プーやその他クマのぬいぐるみ、リアルなクマの毛皮、くまの頭蓋骨などが飾られていてその下には家族の顔面をランダムに刺繍した布(お母さんが一ヶ月半かけて刺繍してくれたそう)がかけられていた。ドライフラワーは彼の仕事(舞台の仕事)で貰った花輪の花を乾燥させたらしい。過去の思いやら含めて清算したいように感じられた。


f:id:theyare:20190525143336j:imageその後

映像作品がアクシデントで見れなくて出川さんが唐突に「熊の脂身を食べてください亅と皿に盛り始めた。4月に知り合いのつてで新潟に狩猟(マタギ)体験に行ってとらえるのを手伝ったらしい。免許はないので銃ではなく声で追い詰める手伝いらしい。今田東野のカリギュラを思い出した。
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茹でた脂身を味噌で味付けしたやつでしたが絶品でした。思わずビールをオーダーしてしまうコクのある、それでいてサラリと食べられる脂身。臭みもなかった。
猟師の話を一通り聞いたがとても興味深かった。商売ではなく、昔からの慣習で続けてるらしいのがまたいい。
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同じくまのぬいぐるみ好きとして気になったのは「殺したクマを己でさばいて食うことに対しては抵抗はなかったのか亅ということ。現場では抵抗なかったそうです。腸もきれいに洗うらしい。解体の際の臭いはそれなりにすごいみたいだった。

一番ぐっと来た話が熊の胆嚢(くまのいというらしい)が驚くべき高値で売れるという話。バイヤーが買い付けに来るらしい。
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これを乾燥させて叩いて

粉状にしたやつが売れるそうです。漢方薬というものは科学的に認められてないらしいが二日酔いやその他諸々に力強く効くらしい。f:id:theyare:20190525144719j:image

ちょうどその時韓国のドヨンさんから出川さんに電話があり話を聞いてると「エベレスト登るのは断念した亅「肺の病気亅「タバコは吸いまくってる亅「仙台で展示をやる亅的なことを言ってて謎すぎた。この人は仙台でも少し会ったがあらゆる能力の高い謎の多い方だった。


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DVDを早急に焼いてもらってようやく見れた映像作品「梱包マン亅は鴨川くいな橋辺りを流れたり階段を高速で転がり落ちたりしていて痛快さと悲哀と男の情けなさが詰まっていた。


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帰りに徒歩で阿倍野まで歩く途中、花街を通ったがとてつもなくいい匂いがした…。今夜は金曜の夜だ、仕事帰りの若いやつが大挙して軒先を物色して歩いていた。この一帯だけはゴミ一つ落ちていない清潔感のある道路だった。

 

 

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